「総特集 色川武大VS阿佐田哲也」です

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20年以上前に出た本です。
色川武大先生(またの名を阿佐田哲也)の
ファンブック決定版といった感じです。
こんな良本がブックオフで110円で購入できたなんて
幸せであります。

様々な作家や有名人のかたたちとの対談だったり、
色川先生のインタビューだったり、または評論だったり、
なんて感じでボリューム満点のつくりとなってます。
個人的には、阿佐田哲也名義での「ヨーロッパ自戦記」が
とくに面白かったですね。

アメリカ(ラスベガス)ではルーレットはあまり人気がない
カジノの種目です。どちらかというとバカラとかブラックジャック
なんかを主戦場としてるギャンブラーが、ちょっと休憩というか
箸休め気分でルーレットに賭けたりする事はあるようですが
それをメインで戦うプロは、ほとんどいないようです。
ただ、ヨーロッパではルーレットは「カジノの女王」と
よばれるぐらい人気が高いようです。
このあたりは、アメリカンスタイルとヨーロピアンスタイルの
差があるのかもしれません。
いわゆる「控除率」というやつ。

ルーレットの盤面には1~36までの数字がありまして
1つに賭けると当たれば36倍です。でも、ここに「0」が
加わると、なかなか趣深くなります。
普通なら36分の1だから当たれば36倍ですが、「0」が加わる事により
実際は37分の1。でも当たると36倍の払い戻しなので、
カジノ側の収益、いわゆる控除率は約2.78%となります。
一番人気種目のバカラとかも控除率は2~3%とかです。
これがアメリカンスタイルの盤面だと「0」だけでなく「00」も
あるので控除率が5%を超えます。そうなると長く遊べば
長く遊ぶ分だけプレーヤーが不利となります。
ですから、観光客相手ならルーレットは見栄えがいいですが
本格的に戦う種目としてはアメリカでは敬遠されるようです。
また、観光客が遊ぶといっても金額はたかが知れてるので
カジノにとっては旨味がないのかもしれません。

そんなルーレットにかんして、阿佐田先生がヨーロッパの
各国をまわって戦ってきた克明な自戦記ですから
面白くないわけがありません。
本来規則性などない「出目」に関し、あらゆる知恵を総動員して
ルーレット台やディーラーの癖を読んだりします。
ちなみにディーラーが出目をコントロールできるという
噂が根強いですが、昔ならいざ知らず、現代ではほぼ無理みたいです。
また人間の「ツキ」という見えない物体に注目し、
「ツイてる人」「ツイてない人」、また「ツキがちょうど切れる人」
などを見極め、その人の賭けに乗ったり、あえて逆に張ったり(笑)

また、プロに関しての定義も興味深いです。
この場合のプロはギャンブラーなのですが、
スポーツや作家、芸能界、もしくは一般的なサラリーマンでも
当てはまるかもしれません。
とにかくプロは「ウルトラC」をやらない、そうです。
どこまでいってもシンプルで基本に忠実であり、
50時間でも100時間でも、同じ戦い方が出来る人が
プロとの事。もうここまできたら一発逆転のウルトラCを
狙うしかない、なんて思った時点で負けるそうです。
あくまでも自分のフォームを崩さず、たとえその時は負けても
フォームを崩さなければ、長い目で見ると結果的には
収支はプラスになる、なんて感じです。
逆に、土壇場でウルトラCを出して大逆転、なんて場合は
その時は勝っても、トータル収支はマイナスになるそうです。

いや~、実生活でも充分応用の効く名言です。
それにしても私は阿佐田哲也名義の本は数多く読んでますが
色川武大名義(というか本来はこっちがメイン)は
あまり読んでいません。
本の巻末には全著作レビューもついてますので
面白そうなものを今後チェックしていきたいと
思っております。

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