「旅の理不尽 アジア悶絶編」です
著者はエッセイストの宮田珠己さんです。
旅行ライター専門というわけではないのですが
旅行記を数多く出版されております。
宮田さんは今60歳でして、30歳の時に
この「旅の理不尽 アジア悶絶編」を
自費出版されました。
この本はアジア数十か国を旅したなかでの
現地の面白レポートといった感じです。
1ヵ国が1章でして、量は少ないんだけど
中身は非常に濃く、とても面白かったです。
冒頭の「はじめに」から飛ばしてます。
旅とは何か。
それは、とても深い問題である。
あまりに深く難しいため、旅は人生であるとか、
試練であるとか、出会いとか、めぐり会いとか、
メグ・ライアンとか、いろいろ言われているが・・・・
こんな感じの文章が全編に渡って
繰り広げられてるのです(笑)
私なんて、最初の「はじめに」から引き込まれてしまいました。
それにしても旅行記というものは
非常に難しいジャンルです。
書き手の力量一つで、面白くなったり、面白くなくなったり。
たいした事でもないけど面白く描ける場合もあれば
本来は面白いエピソードなんだけど書き手が力不足の為、
つまらなくなってしまったり。
宮田さんは、ちょっと面白いエピソードを2段階ぐらい
面白い話にする天才であります。
それでいて、「これ以上やると、やりすぎ」というのが
よくわかってらっしゃるから、読んでるほうとしても
安心して読めるのです。
この手の旅行記(とくにアジア)は、いろんな人が
書いてますが、ハチャメチャに書きすぎるというか
やりすぎな人が多いんですよね。
それと石丸元章さんとかの影響なのかは
わからないけど、アウトロー的な文体を真似たような
人もよく目立ちます。石丸さんの文章は画になるんだけど
真似する人は、所詮真似なんですよね。
滲みでるアウトロー気質というのは真似しようと思っても
真似できるものではないのです。
宮田さんは大阪大学を卒業後、リクルートで働いてた
エリートなのですが、お堅い感じではなく、
基本ふざけてるのですが、いい塩梅にふざけてるので
イヤな気分になりません。
他にも文庫化されてる作品はたくさんあるので
他の作品も読んでみたいですね。
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