「マンガ家誕生。」です
ちくま文庫の「漫画選集」みたいな
シリーズの1冊です。
セレクトされてるテーマは、本のタイトルどおり、
「マンガ家誕生」という事で、様々なマンガ家たちの
自らのデビュー前後を描いた作品がチョイスされております。
手塚治虫
ちばてつや
さいとう・たかを
赤塚不二夫
水野英子
石ノ森章太郎
水木しげる
永島慎二
つげ義春
長井勝一(ガロ編集長・文章のみ)
チョイスされてる方たちは
いわゆるレジェンドばかりです。
神々の領域にいる方たちの作品をまとめて
読めるので非常にお得な1冊であります(笑)
そんな神々の領域にいる方たちの中で
特筆すべきは、それこそ神様、手塚治虫先生です。
自伝風に反戦も取り入れた作品が収録されております。
学徒動員で勤労奉仕をしている手塚少年は
宝塚音楽学校に在籍してた京子ちゃんと出会います。
そんななかで大空襲があり、
なんとか助かったけど、京子ちゃんは
顔に大きなケガを受けてしまいます。
そんな時にアメリカ機が不時着し、
乗員のアメリカ兵はまだ生きているという
場面に遭遇します。
京子ちゃんの仇を討とうと、こん棒を振り上げてから
躊躇し何もせず引き上げる、一連の流れは見事であります。
さすが神様ですな。
この記事へのコメント
撲殺されつつある米兵の描写も怖いけど、それよりも「みんなで叩き殺しているところ」「ひとり一回ずつなぐっていい」というセリフが怖い。
戦争の狂気、殺し合いの狂躁、憎しみの連鎖。
実際に、米兵を殺した人がどれくらいいるのかわかりませんが、その時のその人にとっては正義であり当然であったのです。
戦後、自分の行為をどう考えたのか……。
自責の念に駆られたのかどうか(戦争犯罪で裁かれた可能性も皆無ではないが)。
なによりも、ぼくたちは捕らえられた敵兵を適切に扱えるのかどうか。
以前、捕虜の米兵を銃剣で突いた経験を
涙ながらに語ってる元日本兵のおじいちゃんの
インタビュー映像を見ました。
好きで突いたのではなく、上官に命令されて
無理やり突かされたそうです。
米兵は、「早く殺してくれ」という目をしていたそうで
いまだに、あの目が忘れられない、と。
「戦争は、何一ついい事なんてありません」と
泣きながら語っていたのが印象に残りました。