「毛糸のズボン」です

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本屋さんで見かけて気にはなっていたのですが
購入に踏み切るだけの一押しが足りず
スルーしてましたが、ブログ仲間の盟友、
しろまめさんの記事を読んで、私も読みたくなり
結局購入いたしました。

60年代後半に、漫画雑誌「ガロ」でデビューし、
70年代頭に少女漫画雑誌「なかよし」や
「少女フレンド」で活躍された、直野祥子先生の
傑作短編を、まとめたものになります。
「当時の少女たちを恐怖のどん底に陥れた
 トラウマ少女漫画」という、なかなか刺激的な
キャッチフレーズがついております。

「少女漫画」という言葉で連想するものとしたら、
どうしても瞳の中に「星」が輝いていたり、
白っぽいというか記号のような画面構成だったり
大胆なコマ割りやセリフ回しなどを連想しますが
直野先生の画は、どちらかというと当時勢いのあった
劇画タッチという感じです。
もちろん、女の子中心で可愛らしい見た目なんだけど
一読したら、「少女漫画」とは連想しないかも
しれませんね。それよりも、今現在活躍されてる、
大御所と呼ばれるような漫画家先生たちの
デビュー当時の短編集、みたいな趣であります。

「恐怖のどん底」と言いますが、実際に恐怖というのとは
少し違います。恐ろしい顔とか、切り刻まれた肉体とか、
血の海なんていうものは、ほとんど出てきません。
それよりも日常生活に潜む、ちょっとした恐怖に
焦点を当ててまして、ある意味、ストレートな恐怖漫画よりも
よっぽどタチが悪いです(笑)

おばあちゃんの、孫可愛さ故の、いわゆる「有難迷惑」のような
事例を取り上げた表題作の「毛糸のズボン」を始め、
自分は本当にパパとママの子なのか?という、子供なら
必ず一度は考えてしまうような「マリはだれの子」、
ある意味、小中学生にとっての一番の恐怖である、
夏休みの「宿題」など、読み応えのある作品ばかり。

自分の不注意で友人を傷つけてしまう、なんてある意味で
お約束のようなシチュエーションである、「ひも」。
まさに日常に潜む恐怖を表現した、「かくれんぼ」。
今ならタイトルだけでアウトな「こじきの花」(笑)。
出かけた後に、「あれっ?電気ちゃんと消したっけ?」
なんて、これまたトラウマになりそうな
「はじめての家族旅行」などなど、
いや~、これは当時の小中学生には、あまりに危険ですよ。
50歳超えた私のようなおっさんでさえ、今読んでて
寒気がしてきますから(笑)

ちなみに、収録作品のすべてに対し、著者の直野先生自らが
個別に解説を書かれており、当時の連載時にエピソードなど
含めて、より作品を楽しめるような構成となっております。

ちなみに、当時の原稿は、阪神淡路大震災で、残念ながら
焼失してしまったそうですが、現存してた当時の雑誌を元に
再印刷されております。ですから、ページによっては
複写の跡が、うっすらと残ってたりするのですが
それがまた、当時の雑誌をそのまま今読んでるような
気分になり、より恐怖が倍増する感じですね(笑)


この記事へのコメント

2025年02月25日 21:20
お買い上げになりましたか!
この漫画の恐さは、亡霊とか祟りとかではなく(そういう話もあるが)、日常にありそうなすれ違いや間違いが、取り返しのつかない大きな不幸に発展することですよね~。
子どもって、ある意味で心配性ですから、この漫画を読んでアイロンや家族旅行が怖くなった子がいたんじゃなかろうか……。

アイロンによる火災の恐さを啓蒙する漫画とも言えますが。

もっとも、元々この家族旅行が最後のお楽しみで、金策が尽きて一家心中するのかとも思ってました。
そういう意味では二重の恐さ。

2025年02月25日 23:12
しろまめさん、どうもです。

この漫画集の中で、個人的にツボに入ったのが
「家族旅行」ですね。
実際に、私の母親が昔、戸締りに異常に神経質な時があり、
家族みんなで出かける時は、何度も何度も家じゅうのカギを
確認するのですが、車に乗って出かけた後も、
どうしても気になってしまい、すぐ家に引き返した、
なんて事がありました(笑)
私自身も、地方都市で一人暮らししてて
東京に遊びに行き、一泊してから帰ってくる時に
「煙草の不始末とかで家が燃えて無くなってたら
イヤだな~」なんて思いつつ、遠目に自宅アパートが
見えて、ホッと胸をなでおろす、なんて事も
あったりしましたね(笑)

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