「棋士という生き方」です

CIMG2781.JPG

著者は元プロ棋士で9段の石田和雄先生です。
最高峰のA級に在籍しつつ、将棋センターの運営され
多くの若手の有望格がプロ棋士に育っていきました。
テレビの将棋番組などへの出演機会も多く、
私も名前は存じ上げてませんでしたが
見覚えのあるお顔をしてるな、なんて。

この本は、そのままズバリ、将棋の棋士としての
生活を描いております。
読みやすくわかりやすい文章で、面白く
一気に読めます。
将棋センターで小さなお子さんも相手にしてるから
自然とこのような分かりやすく親しみやすい文章に
慣れてるのかもしれませんね。
岩波ジュニア新書の1冊でもおかしくない感じです。

それにしても、プロ棋士の世界は過酷ですね。
イメージ的には、大相撲の世界よりも
圧倒的に上にいくのは難しいように思います。
とにかく、最初に奨励会という組織に入るのですが
そもそも奨励会に入る事からして大変です。
全国からプロ棋士を目指した若者たちの集団ですから。
そんな将棋エリートの集団の中で
勝ち進んで4段に昇段して奨励会を
出なければいけません。4段になると、正式に
プロ棋士として認められるのです。
大相撲だと、十両昇進という感じですね。
ただし、いくつかの特例はあるけど、奨励会は
26歳という年齢制限があるので、26歳になるまで
4段になれないと、残念ながらそこで将棋の世界を
諦めなければいけないのです。

そうはいっても、世間一般の人と比べると
将棋の3段とかって、物凄く強いのですよ。
大相撲だって幕下は実質プロであり、
更に言うとその下の「三段目」の時点で
ほぼ一般人には負けないぐらいのレベルのようです。
序二段ぐらいなら街の力自慢が勝てるかも
しれないけど三段目になると、相撲だとほぼ勝てない。

実際、4段になるとC級に所属し、そこから勝ち進み
B級、そして最高峰のA級となるわけです。
石田先生も、やはりA級に昇格した時は
「将棋の最高峰の10人の中に自分がいるんだ~」なんて
グッときたそうです(笑)
それにしても、恐ろしい世界ですよね。
だって羽生善治さんとか谷川浩司さんとかレジェンドクラスの
方たちも、順位戦だと今現在はB級なのですよ。

それと、将棋の世界というのは、とにかく若い人が強い事は
間違いなく、努力を重ねて後から強くなる人も
いるにはいるけど少数でして、大半は小学生時代から
名が知られるようになり、中学生ぐらいから
ずっと強いわけです。
この本の中でも、何人かの少年棋士が石田先生のセンターに
通ってましたが、名前を調べると
皆さん、今現在みんなトップ棋士として活躍されてました。

ちなみに将棋以外の人生訓も多数です

 ①ウソはいかん
 ②ケンカは正面からやれ
 ③何事も一生懸命やれ

いや~、さすがであります(笑)

関連する話ですが、将棋ではよく
米長邦雄先生の「米長理論」が出てきます。
将棋以外にも馴染みが深い言葉です。

サッカーでいうと、J1残留をかけて最終戦に
臨んだチームの相手は、この試合で勝っても負けても
とくに影響はなく、相手は生き残りをかけて
必死なので、あえて恨みを買う事無く、
普段控えにまわってるメンバーを先発させたり
怪我しないように、多少手加減して臨んだりするケースが
あるのですが、「米長理論」だとこれは間違いであり、
あえて全力で相手を叩き潰すぐらい真剣にやる、なんて
感じです。
実際に米長先生は、相手は勝てば昇級、自分は買っても負けても
昇級にも降級にも絡まない対局で、あえてタイトル戦でしか
着用しない羽織袴で臨み、全力をかけて相手を負かしました。
米長先生いわく、「自分自身には何の影響もないが
突き詰めると全力を尽くしたかどうかだけが残るので、手を抜くのは
自分自身に対し、明らかにマイナスになる」との事。
もちろん、米長先生自身も「トーナメントなどは例外」としています。

そんな米長先生の事も石田先生は本で取り上げており、
いくつかエピソードを紹介してますが、
米長さんが将棋連盟の会長をしてた時の独裁体制を
非難してまして、何もそんなの書かなくてもいいのにな、
なんて思いましたね。よっぽどムカついてたんでしょうな(笑)

この記事へのコメント

2025年08月14日 18:56
あ~、獅子はうさぎを倒すにも全力で、みたないのかしら。
わかるような気がします。
手を抜く、というか手加減することで、自分自信が全力を出す感覚がわからなくなっちゃうんでしょうね。
米長氏についてはまったく存じ上げないのですが、さすがにひとつの道を極めた方のおっしゃることは素晴らしい。

だけど、人格とか組織運営はまた別物みたいで、海さんに「そんなこと書かなくても」みたいに思われるほど筆が滑ってしまうのも面白いです。
いやいや、むしろそれくらいの毀誉褒貶があるほうが、人として面白味があるのかも。
良かれ悪しかれ、世間の人とは違う世界を歩む人たちは、「世間」から見たら変人な部分があるのかな……。


勝手な妄想ですが、藤井聡太レベルだと、全力で叩き潰すとかではなく、将棋しか見ていない気がします。
「相手」を叩き潰すのではなく、局面に対して全力を尽くしているような……。

まあ、わかりませんけど。

2025年08月14日 19:35
しろまめさん、どうもです。

藤井聡太さんみたいにタイトル独占するような
棋士は多いですよね。羽生さん然り、谷川さん然り。
以前、何かの本だかネットだかで見たのですが、
将棋とテニスって共通点があるそうです。
いわゆる、その時に強い人がタイトルを独占する
傾向にあると。
たしかに、テニスも全てのタイトルを独占する人は
稀だけど、特定の選手たちにタイトルが偏る
傾向にあります。
テニスは、「一発逆転」みたいなものがなく、
そのつどそのつどゲームがリセットされるので
純粋に強い人が勝つそうです。
将棋も同じでして、だから独占するパターンが
多いみたいですね。
運が付け入るスキがないという事。
でも見るほうとしては多少のツキが絡んでるほうが
面白いのですが(笑)

この記事へのトラックバック